腎臓内科について

腎臓内科とは、腎臓に関わる病気を内科的に診断・治療する診療科で、血尿やたんぱく尿が続く方や、腎機能が低下した方などを対象に診療します。
当院では、健診などで尿の異常を指摘された(尿潜血、たんぱく尿など)方をはじめ、慢性腎臓病(CKD)、腎不全、高血圧性腎硬化症、糖尿病性腎症、糸球体腎炎、ネフローゼ症候群などの診療を行います。

腎臓内科の病気は、健診で指摘されたものの自覚症状がないため放置してしまい、知らない間に徐々に進行してしまうということが少なからず見られます。健診で指摘される初期の段階で適切な対処を行うことが、とても大切です。

腎臓内科について

主な症状

尿潜血

尿は腎臓で作られ、腎臓→尿管→膀胱→尿道を通り、体の外へ出されます。尿中に赤血球が混じるのは、そのどこかに何らかの異常が起きている場合です。疲労などからくる一過性で害の無い尿潜血もありますが、尿潜血を指摘されたら必ず専門医を受診し、原因の検索を行いましょう。病気によっては泌尿器科へ紹介となります。

たんぱく尿

たんぱく尿の原因としては、急性腎炎や慢性腎炎などの腎臓に限局した疾患と、糖尿病、膠原病(こうげんびょう)、高血圧など、全身疾患の一部として腎臓に障害が起きる場合があります。たんぱく尿を指摘されたら、自覚症状がなくても、必ず専門医を受診し、原因の検索、経過観察を行いましょう。

主な疾患

慢性腎臓病(CKD)

慢性腎臓病とは、腎不全(透析)や心血管病の重要なリスク因子です。患者数は年々増加しており、日本では成人人口の約13%、1,330万人もの患者がいると言われ、新たな国民病とも考えられています。
生活習慣病(高血圧、糖尿病など)や、メタボリックシンドロームとの関連性も強く、誰もがかかる可能性のある病気です。自覚症状のないうちに腎機能が低下することが多く、透析移行や心血管病予防のためにも早期診断・早期治療介入が重要です。

腎不全

腎不全とは腎機能が低下して、正常に働かなくなった状態です。急性腎不全と慢性腎不全があります。

急性腎不全は、何らかの原因によって腎機能が急速に低下した状態です。原因は多岐にわたるため、早急な原因検索や治療が必要となります。熱中症や低血圧を原因とした腎前性や薬剤による影響が多くみられます。治療は、急性腎不全となった原因に対するものと、腎不全から回復するまでの腎不全期の管理の2つから行われます。

一方の慢性腎不全では、徐々に腎機能が低下していきます。慢性腎不全が進行して末期腎不全の段階に至ると、そのままでは生命を維持できなくなるため、腎臓の働きを補う人工透析、あるいは根治療法である腎移植が必要になります。

高血圧性腎硬化症

高血圧性腎硬化症とは、高血圧が長期間持続したことにより生じた腎機能障害です。高血圧が長い期間にわたって続くと、腎臓に流れる血管に動脈硬化が生じてきます。この動脈硬化のために血管の内腔が狭くなり、腎臓の血流量が減少してしまい機能も低下します。現在、日本の透析導入原因の第3位となっており、患者さんの高齢化などにより増加する傾向がみられます。
高血圧で定期通院中も適宜血液・尿検査による腎機能評価を行うことが大切です。

糖尿病性腎症

糖尿病性腎症は糖尿病の合併症の1つで、糖尿病になって10-15年以上経過してから発症することが多いとされています。1998年以降、透析導入の原因疾患の1位となっています。

糸球体腎炎

腎臓の濾過装置である糸球体に炎症が生じてたんぱく尿や血尿が出る疾患を総称して糸球体腎炎と言い、発症の経過による分類では、急性糸球体腎炎と慢性糸球体腎炎にわけられます。

急性糸球体腎炎は、咽頭炎や扁桃炎などの感染症(主にA群β溶連菌による)の1~3週間後にたんぱく尿・血尿、尿量減少、むくみ、高血圧で発症する一過性の急性腎炎症候群です。小児や若年者に多い疾患ですが、成人や高齢者にもみられます。

慢性糸球体腎炎(慢性腎炎)は、たんぱく尿や血尿が長期間(1年以上)持続する病気の総称です。病気の種類により治療方法は異なります。

慢性糸球体腎炎で最も多い病気はIgA腎症です。IgA腎症は日本をはじめとするアジア人に多い病気と言われています。未治療のまま経過すると約30-40%が末期腎不全に至る予後不良な病気です。IgA腎症の標準治療はレニン・アンジオテンシン系阻害薬・口蓋扁桃摘出術・副腎皮質ステロイド療法・抗血小板薬などが挙げられます。日本では口蓋扁桃摘出術+ステロイドパルス併用療法の有効性が多数報告されています。早期に治療介入することができれば8割以上に治療効果が期待できるため、日本では普及しています。早期発見と適切な治療が重要です。

ネフローゼ症候群

大量のたんぱく尿が出る病気です。本来は腎臓から出てこないはずの血液中のたんぱく(特にアルブミン)が尿に多量に漏れ出てしまうと、血液中のたんぱく濃度が下がり(低たんぱく血症)、その結果、むくみ・体重増加などが起こります。原因の確定診断には腎生検を含めた詳細な検査が行われます。
大量のたんぱく尿が長期間継続すると、徐々に腎機能が悪化するため、たんぱく尿を減らす治療を続ける必要があります。